「線は、僕を描く」砥上裕將著
こんな方におススメ
- 水墨画や日本画に興味がある人
- 繊細な筆の表現に惹かれる人
- 感動的な成長物語が好きな人
- 芸術を通じて自己探求をしたい人
- 映画を見て興味を持った人
- 家族の喪失を乗り越える物語が好きな人
- 心の本質を追求したい人
- 自然や宇宙について考えたい人
- シンプルな表現で深い意味を探ることに興味がある人
- 人生の本質を感じ取ることに興味がある人
水墨画をテーマにした小説です。
映画にもなったのでご存じの方も多いかと。
小説を書かれた砥上さんご自身が水墨画家さんなので、筆の表現がとても繊細で優しく表情豊かに描かれていると思います。
物語は主人公の大学生、青山霜介の視点で描かれていきます。
両親を事故で亡くした霜介が水墨画に出会うことで両親を亡くしたことに向き合え、それを受け入れていく姿を水墨画を描くことの本質に触れながら展開してく過程がとても素敵だなと思います。
水墨画を砥上さんご自身が描かれていて、常に感じていることや向き合っておられるであろうことが本当に細かく、でも分かりやすい表現になっていて私たちの心の中にも触れる1冊だと感じました。
例えば「減筆」という言葉が出てくるのですがこれは
いかに少ない線で描くかということだそうです。
水墨画は「塗る」ではなく線を「描く」ことで出来上がっていること、そのうえでいかに少ない筆数で実態のあるものの本質を表現できるか。
生きることや自然、宇宙、今ここに存在するものごとに向き合うきっかけをくれる本だと思います。
技術や技法は上達しても一瞬で心をつかむような画にはならないこと。
人はみんなどこかで本質を感じ取っているから何かを見て感動できるのだと感じさせてくれる
自分の中に深く触れたくなるきっかけになるとてもおすすめな本だと私は思います。
自分の心と向き合いたい方はご一緒させていただきます。